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コラム

2023.04.05
コラム
足場のローリングタワーとは?特徴と組み立て方も解説
建設現場では業界特有の専門用語があります。高所作業などリスクの高い現場で、コミュニケーションに問題があると、ミスや事故の原因になりかねません。 とは言うものの、経験が浅い人にとっては専門用語を覚えるまでに時間がかかるでしょう。そこで今回は、足場業界で使われている専門用語について説明します。

  ▼ 目次
   1.足場のローリングタワーとは
   2.ローリングタワーの特徴
   3.ローリングタワーの組み立てに必要な資材
    3-1. 建枠
    3-2. 床付布枠
    3-3. 交さ筋かい
    3-4. 車輪
    3-5. 手摺枠
    3-6. 手摺
    3-7. 幅木
    3-8. キャスター止めクランプ
    3-9. 控枠
   4.ローリングタワーの組み立て方
    4-1. 1段目
    4-2. 狭小地(きょうしょうち)
    4-3. 最終段
   5.ローリングタワーを使用する際の注意点
    5-1. 地面が傾いた場所で使用しない
    5-2. 積載荷重を守る
    5-3. 人を載せたまま移動させない
    5-4. アウトリガーでしっかり固定してから使用する
    5-5. 脚立などを作業床で使用しない
    5-6. 墜落制止用器具(安全帯)を使用する
    5-7. 手摺から乗り出さない
    5-8. 手摺や幅木に足を掛けない
    5-9. 資材が外れた状態で使用しない
    5-10. 建枠と交さ筋かいの外側で作業をしない
   6.まとめ

1.足場業界でよく使われる専門用語20選

「移動式足場」とも呼ばれている足場のローリングタワーは、高い場所での作業に用いる移動式の仮設足場です。

一般的には、2階建て程度の高さで作業する時などに利用します。
建築作業における設備や内装工事などで利用する以外に、イベント設営や高所の清掃、電球交換などにも活用します。

2.ローリングタワーの特徴

足場のローリングタワーの特徴は、組み立てた足場を移動できることです。

一般的な足場は、1度組んだら容易に移動できませんし、移動する場合は1度足場をバラして、組み直す必要があります。
ローリングタワーを利用することで、移動時に足場の組みばらし作業を省略できます。

またキャスターが付いているため、人の力で簡単に移動できます。
さらに途中に作業床を設けることで、中間位置での作業も可能です。

取り扱いがしやすいローリングタワーですが、組み立てる場合は足場の組立て等作業主任者の選任や
足場の組立等特別教育の受講などが必要になります。

 

3.ローリングタワーの組み立てに必要な資材

ローリングタワーに使用する資材については、見た目が同じような資材であっても、各メーカーで寸法や形が異なる場合がありますので、
同一メーカーのものを揃えて使用しましょう。

中央ビルト工業の枠組式ローリングタワーを組み立てるには、次の資材が必要です。

3-1.建枠

建枠は、支柱となる建地が門型になったものです。

3-2.床付布枠

床付布枠は、掴み金物を接合して作られた作業床です。「足場板」とも呼ばれています。

3-3.交さ筋かい

交さ筋かいは、柱と柱の間に斜めに挿して建築物や足場の構造を補強する部材です。

3-4.車輪

車輪は、ローリングタワーを移動させるためのキャスターのことです。

3-5.手摺枠

手摺枠は、手摺を固定する枠のことです。

3-6.手摺

手摺は、人の落下を防ぐものです。

3-7.幅木

幅木は、床の端に取り付けて、作業床からの落下物を防ぐものです。

3-8.キャスター止めクランプ

キャスター止めクランプは、車輪を固定するためのストッパーのことです。

3-9.控枠

控枠は、アウトリガーのことです。

4.ローリングタワーの組み立て方

ローリングタワーは基本的にメーカーの指示に従って組み立てる必要があります。
次からは、一般的なローリングタワーの組み立て方について説明します。

4-1.1段目

①車輪とキャスター止めクランプを組み立てる


②床付布枠を取り付ける


③建枠に組み立てたキャスター止めクランプを取り付ける


④片側の建枠に交さ筋かいを取り付ける

⑤反対側の建枠も交さ筋かいを取り付ける


⑥1段目の建枠に控枠を取り付ける


⑦1段目が安定しているかを確認する


1段目がしっかり組まれていないと、組み上がったローリングタワーがグラグラと揺れる可能性があります。不安定にならないように、資材同士の結合部に隙間が無いか確認しましょう。正しく組み付けていても安定しない場合は、資材が変形している可能性があるので、変形していないかを確認する必要があります。

4-2.2段目以降

①1段目の建枠に2段目の床付布枠を取り付ける
②1段目の建枠に2段目の建枠を差し込む
③2段目の床付布枠を足場にして、建枠に交さ筋かいを取り付ける

3段目以降は必要な高さに応じて、2段目以降と同じように組み立てていきます。

4-3.最終段

最終段は建枠ではなく、手摺枠と手摺を取り付けてローリングタワーの完成です。

 

5.ローリングタワーを使用する際の注意点

ローリングタワーを安全に使用するための注意点について説明します。

5-1.地面が傾いた場所で使用しない

ローリングタワーを使用する時はもちろん、組み立てる時も地面が平らで水平な場所で行いましょう。

資材を置く場所も必要なので、十分に広い場所で組み立てます。また組み立てた場所から使用する場所に移動する時にも、地面が傾いたところが無いか確認しましょう。

5-2.積載荷重を守る

ローリングタワーだけでなく、足場には積載荷重の表示義務があります。これを超えて積載しないように管理しましょう。

5-3.人を載せたまま移動させない

ローリングタワーで行える作業の範囲は限られています。作業範囲を移動する場合は、移動時に転落や落下の危険性があるため、人や機材を降ろしてから移動させましょう。

5-4.アウトリガーでしっかり固定してから使用する

アウトリガーが付いているローリングタワーは、必ずアウトリガーでしっかり固定してください。中央ビルト工業の1600幅ローリングタワーは、作業床の高さ5400mmまでアウトリガーを必要としないので、キャスターを固定すれば直ぐに作業が行えます。

5-5.脚立などを作業床で使用しない

ローリングタワーの上で、脚立などを使用してはいけません。

5-6.墜落制止用器具(安全帯)を使用する



ローリングタワーで2メートル以上の高さでの作業を行う場合には、墜落制止用器具(安全帯)を使用しましょう。

5-7.手摺から乗り出さない

ローリングタワーの手摺から乗り出してはいけません。ローリングタワーの重心位置が変わり、転倒する恐れがあります。手摺から乗り出す必要がある場合は、ローリングタワーを安全な位置に移動させてから作業を行って下さい。

5-8.手摺や幅木に足を掛けない

手摺や幅木に足を掛けてはいけません。作業高さに届かない場合は、ローリングタワーの段数を増やします。

5-9.資材が外れた状態で使用しない

ローリングタワーの資材が外れた状態での使用や移動はしないでください。資材が外れた場合は、その場で修正します。

5-10.建枠と交さ筋かいの外側で作業をしない


ローリングタワーを使用する際に重要なのが、建枠と交さ筋かいの内側で作業をすることです。建枠と交さ筋かいの外で作業をすると、ローリングタワーの重心が偏心して転倒の原因となります。

6.まとめ



今回はローリングタワーの特徴や組み立て方、使用時の注意点を解説しました。

ローリングタワーは、作業の範囲が限定的な高所作業において利用します。

安全に高所作業をするためにも、使用する際の注意点を守って活用してください。

足場のローリングタワーとは?特徴と組み立て方も解説