建築工事において、足場は高所で作業を行うために欠かせません。現在、さまざまな建築工事で足場が利用されています。一見すると当たり前のように組まれている足場ですが、ちゃんと設計して組まないと、作業に支障をきたす場合があるのです。
そこで今回は、足場の設計と図面の書き方について説明します。
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▼ 目次 |
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1.足場の種類 |
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1-1. 単管足場 |
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1-2. くさび式足場 |
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1-3. 枠組み足場 |
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2.足場図面の書き方 |
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2-1. 建築物を書く |
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2-2. 足場の割を出す |
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2-3. 割り付けの調整 |
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2-4. 高さを出す |
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3.まとめ |
1.足場の種類
足場と言っても、いくつかの種類があります。まずは、足場の種類について説明します。
1-1.単管足場
単管とは直径48.6mmの鉄パイプのことで、この単管をつなぎ合わせて組み立てた足場を単管足場と言います。単管はクランプと呼ばれる固定器具を軸に、足場の形状を柔軟に変化させて組めるのが特徴です。形状を柔軟に変化できるため、狭い場所でも足場を組めます。
しかし、単管足場は、他の足場と比べて強度や安全面について弱いところがあり、高層の足場としては適していません。単管足場の材料は、ホームセンターで購入が可能で、DIYなどに使用する人も多いでしょう。部材のコストは比較的安価ですが、組み立てや解体作業に時間がかかります。
1-2.くさび式足場
くさび式足場は、くさび緊結式足場やビケ足場とも呼ばれています。くさびとは、断面がV字形になっている道具のことで、一方が薄く、反対側が厚いため、隙間に打ち込んで使う物です。用途としては、隙間を広げたり、周囲を圧迫して物と物が動かないようにしたりします。
くさび式足場は、このくさびの特徴を活かして足場を組みます。くさび式足場の部材には、決められた間隔でくさびを打ち込むコマと呼ばれる凹みがあり、くさびの付いたパイプをコマに差し込んで組むのが特徴です。
組み立てに必要な工具は、ハンマー1本だけで行えるため、組み立てや解体作業を効率的に行えます。強度や耐久性も高く、高さ45mまでの足場を組めます。単管足場に比べ、設置場所のスペースを必要とするため、狭い場所などでは設置できません。
1-3.枠組み足場
枠組み足場は、文字通り定型の枠を使って組む足場です。橋梁工事や建築工事などで利用されています。足場に使用する枠については、工場で生産されているため、安定した強度があります。
足場にとって安定した強度があるということは、安全性が高いということです。足場の高さも原則として45mまで組むことが可能です。枠に軽量な素材のアルミニウムを使用した製品もあり、軽量で扱いやすい物もあります。
くさび式足場と同様に、組み立てや解体作業が簡単にできる足場です。枠組み足場は、比較的大きな建築現場で利用されています。その理由として、設置にはある程度のスペースが必要で、部材の搬入出や置き場についても、十分なスペースが必要となるからです。
これら以外にも、吊り足場や移動式足場など、場所と用途によって使われる足場の種類が異なります。
2.足場図面の書き方
足場を組むためには、図面を作成する必要があります。ただし、すぐに図面を作成するのではなく、書き始める前に工事現場へ行って、足場を組む環境を確認しましょう。
なぜなら、新しく建物を建てる場合はグランドレベルが図面と異なっている場合があるからです。また修理や改築する場合は、建物の周囲にエアコンの室外機や建物とは別の構造物など、足場に干渉する物があるかもしれません。
さらに建物と敷地境界線の幅の確認を怠ると、設計した足場が組めない可能性があります。現場で確認した情報を前提に、足場図面を作成する必要があるのです。
足場の図面の書き方については、決まった書き方はありません。鉛筆と定規で書く人やCADソフトを使って書く人もいます。書き方は違いますが、設計の考え方はどの足場でも共通しています。
2-1.建築物を書く
まずは、建築物を書きます。新築の場合は図面があるので、平面図や立面図を入手します。入手した図面は、建物の外回りに関する寸法が記入されている物を用意しましょう。
建築図面は、壁芯で寸法が書かれているため、壁や基礎の厚み、軒や出窓など建物の外形寸法も調べておくことが必要です。次に打ち合わせで、作業を行う職人と作業高さや建物への出入り口、階段の位置などを決めましょう。
足場を組む前提条件が決まったら、入手した立面図や平面図に記入します。また図面には、敷地境界に関することや、作業で注意することなど、必要な情報を全て記入しておくと良いでしょう。
古い建物の場合、図面が無い場合があります。図面が無い場合は、建物の実寸が必要です。実寸した寸法をもとに、建物の立面図と平面図を書きます。
2-2.足場の割を出す
足場の割を出します。足場の割とは、平面図をもとに足場となる床板を建物の周囲に並べていく作業です。
足場の割を出すことで、建物の周囲を足場がいくつに分割されるか確認できます。割を出す場合は、建物の周囲に300mm程度の隙間ができるようにしましょう。最初に足場の割を出す場合は、基準寸法として床板の寸法を幅600mm長さ1800mmとして並べていきます。
2-3.割り付けの調整
足場の割を出すと、建物の角や端の部分で建物と干渉したり、はみ出し過ぎたりすることがあるでしょう。そのような部分については、割り付けの調整を行います。
割り付けの調整が上手くできるかが、足場設計のポイントです。足場のサイズは規格で決められており、メーター規格であれば、1800mm、1500mm、1200mm、900mmと決まられています。(インチ規格であれば、1829mm、1524mm、1219mm、914mm、610mmです)
例えば、長さ1800mmの床板が、建物と300mm干渉していた場合、床板を1200mmに変更することで、建物との干渉を回避でき、建物との間に300mmの隙間を確保できるのです。
一方、建物の端で1500mmはみ出た場合、建物との隙間300mmと足場の幅600mmを確保するため、床板の長さを1200mmにすることで、はみ出しを調整します。
調整が難しい場合は、300の倍数で割り切れない場合です。例えば、建物端部で990mmはみ出した場合を考えてみましょう。このまま足場を組むと、建物との隙間の寸法は390mmです。
隙間を少なくするために300mm短い足場に変更すると、建物との隙間が90mmとなります。どちらの場合も、作業性や安全性に影響があるでしょう。
このような場合は、90mmを埋めるような補助足場を設けるか、余った寸法を反対側の隙間に均等に振り分けて調整します。この作業を繰り返して、建物周囲の足場の割を調整し、平面図に反映させます。
2-4.高さを出す
平面の図面が完成したら、次は立面図の図面を書きます。立面図で重要なのが、グランドレベルと最高の作業高さです。グランドレベルとは、建物の基準となる地盤の高さです。基礎や建物の基準となります。
グランドレベルは建築現場が平坦とは限らないため、事前確認してどこを基準にするかを決めます。レベルが違う場合は、最も高い部分を基準にしましょう。
低いところ基準にすると、位置ずれや倒壊防止をするための根がらみが組めなくなるからです。レベルが決まったら高さ方向の割り付けを行います。
高さ方向にもメーター規格とインチ規格があり、決められた寸法がありますので、必要な作業高さに作業床が設置できるように割り付けて図面にします。
足場の図面は、作業足場以外に建物への出入り口や階段などの位置を配置して完成です。図面が完成したら、図面通りの足場を組むために必要な部材を分類して使用数を数え、工事に向けた準備をします。
3.まとめ
足場は建築物の形に合わせて設計します。足場図面を書く上で重要なのは、工事現場を事前に確認して、作業を行う会社と足場の条件を明確にしておくことです。
足場の割については、部材のサイズや建物との隙間を調整して、安全で作業性の良い足場を設計します。
いざ足場を組んでいる時に、寸法が合わないことや足場部材が足りないということが発生しないように、図面でしっかり確認しましょう。
足場部材の種類やデータについては、中央ビルト工業のホームページで公開されています。調整に便利な部材のデータもあるので、ダウンロードして活用して下さい。